【受注率2.8倍】なぜトップ営業は「2人」で仕掛けるのか?凡人を天才に変えるユニット営業の構造設計

この記事でわかること

01

2名営業が機能しない理由は「3つの致命的な誤解」にある

02

ユニット営業の本質は「1対1の対決」→「2対1の共創」への構図転換にある

03

キャスティング・掛け合い・良い警官悪い警官の3技術で受注率が2〜3倍になる

はじめに:あなたの「2名営業」が、ただの"頭数合わせ"で終わる理由

「2名で営業に伺います」

この言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。多くの現場では「新人研修のためのOJT同行」あるいは「大型案件だから念のため上司が同席する」といった、どこか受動的で補助的な意味合いで捉えられています。

しかし、私が長年の実践と300名以上の営業育成を通じて確信しているのは、真のユニット営業(2名営業)とは、そうした単なる"頭数合わせ"とは全く次元の異なる、極めて攻撃的で、科学的な戦術であるという事実です。

正しく設計されたユニット営業は、個人のスキルという「足し算」ではなく、
役割と連携による「掛け算」の効果を生み出します。

第1章:なぜ、あなたのユニット営業は機能しないのか?3つの致命的な誤解

📍 成果の出ないユニット営業には、必ず共通した「誤解」があります。

誤解① ユニット営業は「新人教育の場」である

先輩の思考が「後輩に学ばせる」が目的になり、お客様への集中力が散漫になります。後輩は「失敗できない」というプレッシャーから萎縮し、ただの置物になります。

結果:お客様が「研修に付き合わされている」と感じ、信頼関係が損なわれます。

誤解② ユニット営業は「マンパワー」である

役割分担のない2人が同じような話を繰り返せば、お客様にとっては「圧の強い営業が2人に増えた」だけです。「どちらの話を聞けばいいのか分からない」という混乱を招き、不信感の原因にすらなります。

精神論で押すのではなく、役割の違いを戦略的に活用することが神髄です。

誤解③ 「営業担当」が2人いれば良い

同じ「営業担当」という肩書きの2人が商談に臨めば、お客様には「営業マンAと営業マンB」がいるようにしか見えません。どちらが主導権を握るのか、どちらが最終責任者なのかが曖昧になります。

核心は「異なる役割を持つプロフェッショナルがチームとして連携すること」です。

第2章:ユニット営業の本質 ─「1対1の対決」から「2対1の共創」へ

📍 商談の構図を根本から変えることが、ユニット営業の本質です。

通常の商談は「営業担当 vs 顧客」という「1対1の対決」の構図になりがちです。営業は説得しようとし、顧客は警戒します。ユニット営業が目指すのは、この構図を「(専門家チーム) vs (顧客の課題)」という「共創」の構図へと転換することです。

📊 ユニット営業が変える「商談の構図」

❌ 通常の商談(1対1の対決)

👔

営業担当

説得・押し込み

VS

🏢

顧客

警戒・防御

「営業に説得されている」という感覚
→ 警戒心が高まり、受注率が低下

よくある3つの誤解

❌ ユニット営業は「新人教育の場」

❌ ユニット営業は「マンパワー」

❌ 「営業担当」が2人いれば良い

構図
転換

✅ ユニット営業(2対1の共創)

👔

戦略家

課題・目的を握る

🔬

戦術家

現場視点で深掘り

vs 顧客の課題

✅ 「この会社は自分の味方だ」

✅ ビジネス×現場の2視点で信頼倍増

✅ 受注率が2倍・3倍へ

この「共創」という劇場を創り上げるために不可欠なのが、次の3つの要素です。

①役割設定(キャスティング):誰が、どの専門家を演じるのか

②掛け合い(シナジー):役割の違う2人が、どう連携して価値を最大化するのか

③フォローアップ・クロージング:いかにして、チームとして顧客の決断を後押しするのか

第3章:受注率を2倍にする「役割設定(キャスティング)」の技術

📍 ユニット営業の成否は、商談前の「役割設定」で9割決まります。

業界 戦略家(営業担当) 戦術家(専門家) 顧客への印象
WEB制作 ビジネス課題を握る
営業担当
技術・現場視点で深掘り
Webディレクター
ビジネスと現場の両方を担保するパートナー
保険 定性的な想いに寄り添う
ライフプランナー
定量的な事実で最適プランを提示
FP
夢と現実の両方に寄り添うチーム
不動産
(注文住宅)
予算・資金計画を管理
営業担当
夢を形にするクリエイター
設計士・インテリアコーディネーター
予算という現実と夢の両方を実現するプロ集団

パターン1:WEB制作会社の場合

戦略家(営業担当)

「ビジネスの成功」を握る

顧客のビジネス課題(売上・利益・採用)をヒアリングし、プロジェクト全体の目的を設定する

戦術家(Webディレクター)

「現場の実現性」を語る

技術的な実現可能性とSEO・UI/UXなど具体的な施策を語る

パターン2:保険会社の場合

ライフプランナー

「定性的な想い」に寄り添う

家族構成・将来の夢・不安といった感情的な部分に共感するパートナー

FP(ファイナンシャルプランナー)

「定量的な事実」で支える

税金・資産運用・社会保障制度に基づき、客観的で最適なプランを提示する専門家

パターン3:不動産会社(注文住宅)の場合

営業担当

「現実的な制約」を管理する

予算・ライフプラン・資金計画・土地探しといった現実的な部分を担うプロジェクトマネージャー

設計士・インテリアコーディネーター

「夢を形にする」クリエイター

「こんな暮らしがしたい」という曖昧な想いを、具体的な間取りやデザインに落とし込む

💡 服装も役割設定の一部

営業担当はきっちりとしたスーツ、専門家は少しラフなジャケットスタイル。この服装のコントラストが「現場感」と「ビジネス感」の両方を演出し、それぞれの役割のリアリティを無意識のうちに顧客に伝えます。キャスティングは、商談が始まる前から始まっています。

第4章:顧客を虜にする「掛け合い(シナジー)」の作り方

📍 役割の違いを活かした「掛け合い」で、1+1を3以上の力に変えます。

完璧なキャスティングができたら、次はいよいよ本番の「掛け合い」です。WEB制作会社の例で見ていきましょう。

フェーズ1:ヒアリング

✅ 成功する掛け合いの例

営業担当(戦略家)

「今回のWebサイトリニューアルにおける、ビジネス上の最終的なゴールはどこに設定されているか、お伺いできますでしょうか?」

顧客

「新規のお問い合わせ件数を、月10件から30件に引き上げたいんです」

ディレクター(戦術家)が深掘り

「現場の視点から一つお伺いしたいのですが、現在お問い合わせに至っているお客様は、どのようなキーワードで検索されているか、データはございますか?ここの解像度が低いと、せっかくサイトを綺麗にしても、的外れな集客になってしまう可能性があるんです」

顧客は「ビジネスの視点」と「現場の視点」という2つの角度から自社の課題を分析してもらえていると感じ、一気に信頼を深めます。

フェーズ2:プレゼンテーションと質疑応答

✅ 「第三者話法」の掛け合いの例

顧客からの専門的な質問

「このCMSを使った場合、本当にページの表示速度は担保されるのでしょうか?」

営業担当がディレクターに「パス」を出す

「非常に重要なご質問です。その点については、実際に現場で開発を指揮しているディレクターから、より詳しくご説明させていただけますでしょうか」

ディレクターが「第三者の専門家」として答える

「弊社の過去事例では、同様の構成で構築したA社のサイトで、GoogleのPageSpeed Insightsスコア92点を記録しています。御社の場合は、画像圧縮を徹底すれば、同等以上のスコアは十分に達成可能だと判断しています」

営業担当が自分で答えず、専門家にパスを出す「第三者話法」がチーム内で行われることで、提案の信憑性とリアリティが飛躍的に高まります。

第5章:【奥義】詰んだ商談を覆す「フォローアップ・クロージング」

📍 ユニット営業が真価を発揮するのが、商談の最終盤面です。

「良い警官・悪い警官」という布陣を、営業のクロージングに応用します。

📊 クロージングの奥義 ── 「良い警官・悪い警官」の構図

悪い警官(営業担当)

👔

予算・契約条件を管理
決断を迫る役

「本日中にご判断を
いただけますか?」

顧客

🏢

悩んでいる状態
決断できない

「素晴らしいが
金額が…」

良い警官(専門家)

🔬

顧客の成功を純粋に願う
寄り添う・助け舟を出す役

「少し強引すぎますよ。
お客様の気持ち、わかります」

STEP 1 営業担当が決断を迫る → 顧客が悩む

STEP 2 専門家が「良い警官」として助け舟を出す

「お気持ちお察しします。現場として、何とかご支援できることはないか検討させてください」

🔄 構図が劇的に変化 「営業 vs 顧客」 → 「(専門家+顧客)vs 営業(会社)」

✅ 顧客が専門家を「自分の味方」と認識
→ 心を開き、受注へ

✅ 詰んだ商談も「仕切り直し」で復活
→ 失注リスクを極限まで低減

ユニット営業最大の強み:「仕切り直し」ができること

一人で営業していると、一度「今日決めてください」と詰めてしまい、断られたらもう後がありません。しかしユニット営業なら、この詰んだ状況をリセットできます。

「△△さん、少し強引すぎますよ。〇〇様が不安に思うのも当然です。申し訳ありません。一度、今日の話は白紙に戻して、〇〇様が本当に懸念されている点を、もう一度私と一緒に整理しませんか?」
この「役割の切り替え」ができることこそ、失注リスクを極限まで下げ、受注率を最大化する、ユニット営業最大の強みです。

まとめ:ユニット営業は「最高の顧客体験」を設計する技術である

# 要点
01 ユニット営業は「頭数合わせ」ではなく、顧客との関係を「共創」へと転換する高度な戦術
02 成功の9割は商談前の「役割設定(キャスティング)」で決まる。自社のサービスに合わせて最強の組み合わせを設計する
03 商談中は役割の違いを活かした「掛け合い」と「第三者話法」で、提案のリアリティと信頼性を最大化する
04 クロージングでは「良い警官・悪い警官」の役割を演じ分け、詰んだ商談さえも「仕切り直す」ことで受注へ導く
まずは、次の商談で隣にいる同僚を
「ただの同行者」ではなく「最高のパートナー」として捉えることから始めてください。

あなたの組織でユニット営業は正しく設計されていますか?

コメント欄で教えてください。あなたの業界に合わせたキャスティングを一緒に考えます。

📖 あわせて読みたい

筒井 環

Written by

筒井 環

営業組織設計家 / レベニュー・アーキテクト

300名超の営業組織を設計・育成。東証プライム上場AI企業でセールスイネーブルメントを推進後、独立。受注率改善・組織立ち上げ・営業教育の設計を専門とする。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です